■エピローグ■
ユリーナは新聞の一面を見て、ため息をつく。
「憧れてたんだけどなぁ……」
その言葉に、ソファに寝そべっていたマックスが視線を向ける。
「純愛ストーリィー」
伯爵と、夫人の ――― 。悲しい結末にはなってしまったけれど。それでもユリーナには憧れだったのだ。
それを聞いて、マックスは何だそんなことかとばかりに言う。
「憧れるも何も。ユリーナは実行中じゃないか」
「え?」
不思議そうな顔つきをするユリーナに、にっこりと女性たち ―― いや、男性でさえ思わずうっとりしてしまいそうな微笑みを見せてマックスは言った。
「幼馴染との純愛ストーリーまっしぐら。良かったね。僕たち、相思相愛で」
侯爵にも婚約まで認めてもらったしね。
嬉しそうに笑うマックスとは反対に、初耳のその言葉を呆然と聞いたユリーナは慌てて我に返った。
「じょ、冗談じゃないわよ ―――っ!」
きゅるる、と。
少し離れた場所で、フェネックは二人の姿を心配そうに見つめていた。