月華草 〜 エピローグ 〜


先生はそれからしばらく瑞穂の様子を診ていたが、完全に回復に向かったのを確かめると
帰っていった。

僕は先生を外まで見送り、その姿が見えなくなってから、玄関の扉に寄りかかった。
夜空を見上げる。
幾千と輝く星空の中にひときわ美しく、月が輝いていた。

全てに感謝する。

月の王女に会わせてくれたススキたちと、奇跡を与えてくれた月の王女に……。
心から ――― 「ありがとう」と。

僕は月を見つめて、それから笑顔で家の中へ戻った。

 『どういたしまして ――――― 』
月からそんな言葉が聞こえた気がした。



――――――― …………



ほら 優しい気持ちになれるでしょう



ほら 涙もどこかへ消えていくわ……







END