09. トキモリ助手の事件簿

2007年11月01日

序章:怜悧な刃物(1)

 ――― 憎しみはほどけ、そして私は自由になる。

 彼女の言葉は、僕の胸にいつまでも残った。
 寂しさに溢れた声で。

 飛び立った鳥は、彼女だろうか。眩しさに僕は目を細めて、どこまでもその姿を追いかけた。