2010年07月20日
Step1:ひろいもの。(Step by Step)
Scene1
どうするっ、わたし?!
なんて、自問自答するよりも先に、身体は動いていた。だって、こんな雨の中。うずくまっている人を放っておけるわけがない。それに同年代っぽいし。
なんで、とかどうして、とかよりも先に、傍に駆け寄って声をかける。
「あのっ、大丈夫ですか?!」
ゆさゆさと背中を揺らしても、反応無し。ってことは、むやみやたらに身体を揺することも危険な行為に違いなくて、顔を覗きこもうとし――おーまいがっ!
ぐらりと倒れこんでくる身体を慌てて抱きしめる。それによって伝わってくる体温が異常なほどに高いことに気づいた。
「やばっ、熱あるよ!」
――救急車?!
一瞬そう脳裏を過ぎったけれど、今日は携帯電話は家に忘れていた。激しく降り注ぐ雨の中、周囲を見回しても、こんな狭く細い路地に通りかかるひとはいない。
(ってことは、どう考えてもウチにつれてくしかない!)
不幸中の幸いか、我が家は路地を抜けた一軒先。
とりあえず。
ぐったりしている彼の腕を取り、支えながら家まで連れて行くことにした。
- by 羽月ゆう